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事例紹介

(事例3)中1のRさんの例

「KYで孤独、自己否定感が強かった子がアイドルグループで活躍」

Rさんは、ノートをとるのが苦手で成績が上がらず、友達の気持ちが分からない、いわゆるKYなところがあり、孤独を感じていました。しかし、どうしてそうなのか分からないまま、自分はダメな人間なんだと思い込んでしまっていました。

入校前のアセスメントでは、小学校低学年で習う漢字を書けなかったり、ひらがなやカタカナもかなりふぞろいに書いてしまうなど、ディスレクシア(LD/学習障害の一つで読み書きに困難がある)傾向が強く見られました。またカウンセリングの結果、特に女子グループからのいじめに苦しめられていることが分かりましたが、その原因として、言葉にしないコミュニケーション、暗黙のルール、を理解できないことがあるようでした。この「なんとなく理解する」が壁となって友達ができないというのはアスペルガー症候群を持つ子によく見られます。

Rさんの家は遠く離れていたので、入寮することになりました(※2024年現在新規入寮は停止しております)。当時、寮は男の子ばかりで、大丈夫だろうかという不安もありましたが、Rさんにとっては態度や言葉で表してくれる男の子たちとのコミュニケーションはむしろ分かりやすく、カウンセリングとあわせて、すれ違いを一つ一つ確認できたことで、人間関係に自信が戻っていきました。寮母といろいろ話す時間があったこともよかったようです。時が経つにつれ、Rさん本来の明るく社交的な面が見えるようになり、週末のアクティビティーではリーダーシップを発揮することも増えていきました。

学習面では、まず文字に対する苦手意識をなくすことから始めました。進歩のひとつひとつを褒めることはもちろんのこと、ホワイトボードや色をつかったり、ノートをとる意義に自分で気がつくように導いたり、マインドマップやビジョントレーニングを行ったりすることで、書くことを楽しめるようになりました。実直で努力家なこともあって、その後は数学や英語なども点数を取れるようになり、高校に進学すると同時に当校を卒業しました。

高校では、あこがれであったチアリーディング部に入るなど充実した日々を送り、現在はアイドルグループの一員として活躍しているそうです。

TEAM GIFTED に入ってくる子の多くは、とにかく自己肯定感が低く、自己否定に起因する二次障害に苦しめられている場合がほとんどです。 例えば、字をきれいに書けない、という一次的な問題が、それを理由に親や先生から否定されたり(されていると感じたり)、周りからバカにされたり、テストや宿題をうまくこなせなかったりすることで、自尊心の低下や引きこもりといった二次的な問題を引き起こしてしまいます。 ひどい場合にはパーソナリティー障害などの精神疾患となってしまう場合もあります。

自信を持てるかどうかが、その人の能力に大きく影響することは心理学的に確かめられており、実際に、自信を取り戻すことで「この子はこんなこともできたのか」と驚かされることはよくあります。そして自信を持つと夢を持つようになります。

当校ではそれぞれの子の特性にあわせて、またいろいろな角度から挑戦させることで、成功体験を積み重ねさせ、自分の力、自分の出した結果に自身で納得することで、本当の自信を持たせるようにしています。 またそのためにも、できないことよりも、できること、できそうなことに着目し、押し上げるよりも、引っ張り上げることに重点を置いて、サポートを続けています。