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事例紹介

(事例4)中2のEくんの例

「我関せず、自由でマイペースな子が植物に関する知識を買われて就職」

Eくんは、学校の特別支援クラスでサポートを受けていましたが、座って授業を受けることができず、勝手に外出して行方不明になることが多過ぎるということで、対応に苦慮した学校から当校にバトンが渡されました。

発達障害としての分類は、ADHD/注意欠如・多動症(特に注意欠如と衝動性、おっとりタイプ)とASD/自閉症スペクトラム障害になります。
また、プラレール、レゴ、植物の観察と栽培、など特定のことに関しては高い関心と集中力があり、何時間でも継続する持続力がありました。

ある日、授業開始の音が鳴っても教室に入ってこないので、見に行ってみると、レゴでなにか複雑なものを作っていました。
授業がもう始まっていることを伝えても無視しています。
集中すると聞こえなくなるタイプの子と聞こえていてもスルーするタイプの子がいますが、Eくんは後者でした。
「そのままつくりながらでいいから授業を始めます」と伝えると、一瞬振り返り、またレゴに戻りました。
そこで、今からすることを前置きしてから、国語の問題集から長文を読み聞かせ、それから設問を読んで答えさせてみると、顔も指先もレゴに向いたままですが、全問正解しました。 またある日、教室に姿を見せないので様子を見に行くと、今度は外で植物観察をしていました。
その日は雨が降っていましたが、そのまま外で植物に関連付けた英語の授業を行いました。

こういったことを続けていくうちに、Eくんの行動に変化が現れてきました。
気持ちを口に出すようになり、学習の内容に興味を持つようになり、問題を聞くだけだったのが目を向けて読むことができるようになり、最終的には、プリントを渡すだけで、問題を読んで答えることもできるようになったのです。

TEAM GIFTED 卒業後は、留学を経て、かねてより情熱を傾けていた植物に関する専門的な職に就きました。

ADHDと聞くと、集中力がない、飽きやすい、忘れものが多い、じっとできない、暴力的、そういったイメージが強いと思いますが、実際には、いろいろなタイプがあります。
例えば、一見ふつうに席に座って授業に集中しているようでも、頭の中ではまったく別のことを考えていたり、一つのことに集中できなくても、同時にいくつものことを処理できたり、です。

一般的に、ながら勉強をすると学習効率が落ちることが知られていますが、ADHD傾向を持つ子の中には、Eくんのように興味のあることに集中力を注ぎながらの方が、うまく学習できる子たちがいます。

おそらく、脳内を跳び回る注意・関心が自然と一カ所(レゴのような)に向くことによって、情報の氾濫が収まるイメージなのではないかと思います。
つまり、集中力がないのではなくて、あり過ぎて収拾がつかなくなっている状態に対処すると捉えるのです。

また、もう一つの見方として、衝動性があります。
気が進まなくてもやろうとする意志の弱さやがまんする力の弱さのことですが、レゴのような好きなことをしているという満足を得られることで、それ以上にあれこれしたいという衝動性が抑えられ、問題を解くことができるようになるというケースです。

ただし、ある子に有効な手法が他の子にも有効、とは限りません。
わたしたち TEAM GIFTED は、これまでの経験と知識にもとづきながら、それぞれの子に向き合って、ベストな方法を探っていきます。